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交流流体攪拌機 (試験販売)  


             AMX-80     
      
                                            
従来、電気炉その他の密閉容器内を攪拌したい場合には、内部に攪拌用ファンを設けるなどしていましたが、高温雰囲気になると軸受けなどに高温使用限界があり、また腐食性ガスの場合なども材料の選択が難しいといった問題がありました。また攪拌のために外部から回転力などを密閉容器内に伝えるのは漏れの問題も発生します。

交流流体攪拌機はこのような難しい使用条件でも簡単に攪拌できる装置です。これは往復運動する気体流を用いて雰囲気の攪拌を行います。

例えば交流流体が流れているホースの中では気体が往復運動しており、平均の流れはゼロになります。つまり電気の交流と同じです。これを密閉容器内に導入すると、空気の流れ込みはゼロなのに、容器内で強い気流を発生させることが出来ますので、これを攪拌目的で使う事が出来ます。

ここで使う交流流体は商用交流電源を利用して発生させますので、50Hz又は60Hzの交流流体になります。そして効率よく交流流体を作れ、しかも使う段階で音の発生を抑える効果もあるので、交流位相が180°ずれた2本の交流流体を使います。(つまりホースは2本)

発生させる原理は色々な方法がありますが、AMX-80は市販の電磁ポンプを改造して作っています。電磁ポンプは交流電磁石と、それに近接させた振動板に固定された永久磁石との吸引,反発力を利用して振動板を振動させます。通常の電磁ポンプは直流流体を得るのが目的ですから、振動板で発生した圧力変動を弁機構で一定方向の流れになるようにしています。

交流流体の場合には直流成分は不必要なので、振動板で生じた圧力変動をそのまま利用すればよいことになります。このため弁機構が不要で構造的に単純になり、故障も少なくなります。

このようにして発生させた交流流体をホース等で攪拌したい容器内に導きます。以下はそれを説明するための図です。



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12 上記交流流体ポンプで作られた50Hz又は60Hzの空気振動はナイロンチューブ等を介して「攪拌する容器」に固定されたノズル(石英又はセラミック,金属などのパイプ)に接続します。

空気振動は吹き出し過程ではノズル内で運動エネルギーを得て遠くまで吹き出されます。しかし吸引過程ではすぐ近くの空気を吸い込みます。これを1秒間に50〜60回繰り返しますので、強い一定方向の空気の流れが出来ます。この流れにより容器内を攪拌します。

パイプ内やノズル内での空気の振動(全振幅)は100mm程度になります。そのため攪拌容器内が非常に高温だったとしても、熱気が直接ポンプに達することはありません。

しかし熱はリレー式に運ばれてくるので、ある程度の熱はポンプ側に逆上って来ます。そのため、高温炉の攪拌に使う場合には高温に耐えるホースまたは金属管を使い、それでもポンプにまで熱が伝わる場合には、ホースの冷却が必要な場合も考えられます。

いすれにしても平均的には空気の流れはないので、外部の空気が攪拌容器内に入る事はなく、そのため内部が外気で冷却されたり汚染されたりせず、逆に内部の気体が外部に漏れる事もありません。

この様な特徴から、交流流体攪拌は厳しい雰囲気条件での攪拌に威力を発揮します。また高度な機密性が要求される容器内の攪拌も得意です。

毒性の強い気体や危険な微生物を扱う場合などでも、正常に動作している限りは容器内気体が漏れる事はありませんが、セパレータを挿入することで完全にポンプ側と分離する事も可能です。セパレータとは交流流体通路をゴム膜又はダイヤフラム等で分離し、気体の流れは阻止して振動だけを伝えるものです。電気回路のコンデンサーに相当します。

欠点として空気振動を利用する関係上、どうしても音が発生します。しかし逆位相の2本の交流流体を使用しているので、50Hz/60Hz成分はかなり打ち消されています。主に聞こえているのは意図せずに発生してしまう高調波成分の音です。

音の問題を完全に回避するには交流流体の周波数を可聴周波数外(例えば15Hz以下)に設定するしかないと思われますが、電源周波数をそのまま利用する方法に比べると構造的に複雑になり、高価格となります。





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