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     電熱線選定基準



 


                       
SAHタイプヒータの電熱線を決定する基準を下記の様に定める。


1.
設計すべきヒータの電流値を求める。    I=P/E [A]  →  電流[A]=電力[w]÷電圧[v] 



2.
上記で求めた電流値より、次項以降の表を使って電熱線径を求める。

電熱線の表面負荷は10[w/cm^2]を一応の基準とする。

表面負荷を大きくするほどヒータは短くなる。しかし短くするほど過熱によるトラブルを起こしやすく、寿命も短くなるので12.5[w/cm^2]が限界である。

ただし熱風温度が低くてよい場合には更に大きな表面負荷で設計する場合もある。ただしこれは用途,客先を限定した特殊品である。

表面負荷を小さくするほど高温使用での寿命が長くなり、無風通電のような異常な使い方に対しても余裕があるのでトラブルを起こしにくい。

しかし表面負荷を小さくするほどヒータは長くなるので、この点からもむやみに表面負荷を下げるわけにもいかない。現実的には7.5[w/cm^2]程度までであろう。

過去の設計においては11[w/cm^2]程度で設計してきたが、最近は10[w/cm^2]を標準と考えている。ただし目標値にぴったりの電熱線径が選べるわけでもない。電熱線も規格サイズ,在庫サイズに制約があり、その入手可能なサイズの中から選ぶ事になるので、必ずしも自由な表面負荷に設定できるわけではない。

また非常に電流値の低い場合(1[A]前後)には電熱線が非常に細いので切れやすい傾向にあり、そのため表面負荷は低めに設定する。1[A]前後では7.5[w/cm^2]程度を基準と考えるべきであろう。逆に大電流の品種では同じ設計寿命ならば表面負荷は高めでもよい。

この表はパイロマックスDS線で計算しているが、カンタルAF線でも大差ないので同様に使える。(カンタルAFの方が少し低い表面負荷となる)

3.
電熱線の長さ(UCL)はヒーターの抵抗値R[Ω]と電熱線のボビンに表示してある導体抵抗値Rm[Ω/m]より下式で求める。

   ヒーター抵抗値 R=電圧×電圧÷電力 [Ω]     (R=E^2/P)

   電熱線長さ UCL=0.97×R/Rm [m]   ※(0.97は抵抗温度係数を補正するための定数)

   (注) 長さ単位は[m]なので、[mm]になおすには×1000 をすること。
   
実際の運用では0.97をかけずにUCL=R/Rmで切断して巻けばよい。そうすればリード部の長さがマイナスされるので、規定の抵抗値に近づく。また抵抗値の誤差は低めよりも高めの方が良い。(寿命が長くなる方向なので安全サイドとなる)

コイル巻段階の抵抗値の誤差は+3%,−1%の範囲で作ること。


   2007/08/07    http://www.fintech.co.jp  (有)フィンテック

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           ヒーターコイル長さについて   .           . .. 
  





 





1.発熱体の表面負荷から設計


@
まずヒータの電流値を求める。電流=電力/電圧 の関係になるので、ヒータ電力をヒータ電圧で割れば電流値が求められる。
A
発熱体の表面負荷を決定する。熱風ヒータの場合、標準的には電流が3A以上では10〜11w/cm^2,電流が2Aでは8〜9w/cm^2,電流が1A付近では7〜8w/cm^2。これらに加えて高温熱風用や安全性の高い設計のものは、更に表面負荷を小さくする。逆に低温熱風の場合には表面負荷を大きくしてヒータサイズを小さくすることができる。
B
目標とする表面負荷が決まれば上図の電熱線選定基準により使用する電熱線の径を求める。理想的な電熱線径が選べるとは限らない。メーカの標準寸法,在庫ワイヤーなどから判断して適切な電熱線径を決定する。
C
コイルにした場合の長さを求める。ヒータの電気抵抗値は 電気抵抗=電圧×電圧/電力 の関係にあるので、この式でヒータの電気抵抗を求める。そして下図の「コイル1mm当たりの電気抵抗」より、その電熱線径でのコイル1mmたりの電気抵抗値を求め、それでヒータの電気抵抗値を割ればコイル長さが求められる。このコイル長さが適正であれば、それで決定する。もし長すぎるとか短かすぎる場合には電熱線径を変更し、再度上記の計算をしてみる。

2.実物データがある場合、そこから比例計算で寸法を求める



ヒーターのコイル長さは電力に比例し、電熱線の表面負荷に逆比例する。この関係式を使えば、何か基準となるヒータの寸法データがあれば、下式で新規設計コイルの全長を求める事ができる。

ヒーター長さL=L0(P/P0)(Sp0/Sp)

  L0 :基準ヒータのコイル長
  P  :新規設計ヒータの電力
  P0 :基準ヒータの電力
  Sp :新規設計ヒータの電熱線表面負荷
  Sp0:基準ヒータの電熱線表面負荷

ヒータ寿命対策としてコイルの中間固定を入れる場合は、その寸法を加算すること。















































                 φ8コイルの1mm当たりの電気抵抗(φ0.2〜φ0.35)







              φ8コイルの1mm当たりの電気抵抗(φ0.4〜φ0.55)















































































































































































































































































































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