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熱風ヒーターの温度センサー  新方式/+SC仕様について 
 最も合理的な測定位置 /+SC仕様他 特許出願中  


熱風温度センサーを/+SC仕様に変更するだけで通常のコントローラでもエアー停止トラブルに耐える(条件付)
FCM−N型コントローラとの組合せならエアー停止トラブル時でも安全に停止できる
予熱しておいて必要時に瞬間熱風吹出しという動作も可能になる
 
 
 

熱風温度センサー /+SC 方式の概要

従来の熱風温度センサー方式/+Sと互換性があり、基本的には差し替えて使える。ただし応答が遅くなるので温調器を使う場合は制御定数(PID値)の調整が必要な場合がある。特に低流量時に応答の悪さが顕著になる。しかしこれに変えるだけでエアー停止トラブルに非常に強くなるという大きなメリットがある。

弊社での経験上、SAH,SAHD型熱風ヒータご使用上のトラブルで最も多いのがエアー停止トラブルによる過熱断線となっている。エアー停止トラブルは30秒間〜1分間程度続くとヒーターが焼け切れるので、これが起こらないというのは非常に大きなメリットと言える。

そのため、弊社の基本方針としては、全ての品種について/+SC方式に変更していきたいと思っている。

下図は通常の温度センサー位置/+S方式と改良型温度センサー/+SC方式の違いを示したものである。  

従来方式/+Sは発熱体部を通過した後の空間に配置している。それに対して改良型/+SCはセラミック芯内の発熱体終端部付近に配置している。 

これだけの変更で、この熱風ヒーターはコントローラで通電使用中に元エアー源が止まってしまったとしても発熱体の過熱を防ぐことができる。この方式であればエアー停止時の発熱体温度は熱風温度設定値までしか上昇しない。例えば熱風温度800℃設定であれば通常運転時の発熱体温度は約1100℃である。従来仕様ならば、ここでエアーが停止してしまったら温度センサーは低い数値しか検出しなくなるので、コントローラはヒーターに更に大きな電力を加える操作をし、その結果すぐに1500℃をオーバーして短時間で断線する。

しかし/+SC仕様ならばエアーが停止した場合、発熱体温度を検出して出力するようになるので、発熱体温度は熱風温度設定値にコントロールされる事になる。(この場合は800℃)

そのため決して発熱体はダメージを受けない。ただし通常のコントローラの場合、この状態が長引くと熱が根元側に伝わっていき電線等が焼損するので、いつまでも耐えるわけではない。

コントローラがFCM-N型であれば、エアーが停止すればヒーターへの通電も停止するので、安全に停止する。


 
 



  基礎実験による確認@ ; センサー位置による測定温度の違い


 
 
実験方法

SAHD200v-440w/10PS型熱風ヒータで熱電対位置をスライドさせて変更できる特別仕様のヒータを作り、下図のA,B,C,D位置での特性を測定し比較した。

A位置が従来仕様であり、CまたはD位置が今回推奨する/+SC仕様となる。実際の/+SC仕様はCとDの中間となる。

温度測定はヒーターの構造上バラツキが大きいので、正確なデータを得るには10本程度のサンプルは必要になる。しかしこの実験の様に同じヒーターでセンサー位置を可変にしたサンプルであれば試料が1本でもA,B,C,Dの差は正確に求める事ができる。
                                                                    
 
 



 下図は色々なエアー流量で供給電圧に対する熱風温度測定値の差を求めたもの。




  結果は上図の様になった。
 
 
 

結果のまとめ

エアー流量が大きい領域では従来位置/+Sに比べ/+SC仕様は測定温度は低くなる。よく使われる領域(24〜6L/min.)ではどの位置でも大きな差は無い。エアー流量が少なくなると従来仕様よりも/+SC仕様の方が測定温度が高くなる。

では従来仕様と/+SC仕様のどちらが実際の熱風温度(平均値)に近いかを検証する。空気の比熱等から計算すると各エアー流量に対する熱風温度は下表「計算熱風温度」が妥当と考えられる。

 熱風温度≒50×電力÷流量L/min.×熱効率+室温    ヒーター電力=440w×(実電圧/200v)^2

エアー流量L/min. 熱効率予想値 計算熱風温度 A位置 B位置 C位置 D位置 判定電圧とそのときのヒータ電力
45 0.9  465 565 535 505 485 200v-440w
24 0.85  655 710 690 680 660 180v-356w
12 0.8  745 760 750 740 730 140v-216w
6 0.7  667 670 690 710 690 100v-110w
3 0.6  725 650 690 740 780 80v-70w
                                                                 ※濃い青が最も予想値に近い測定値となる

評価  

従来仕様/+S(A位置)は計算から予想される値に必ずしも近くない。特に大流量時と小流量時に予想値からのズレが大きくなる。最も妥当な感じがするのがCからDの間となる。

結論

温度測定値の妥当性からみても従来仕様/+Sはベストとは言えない。CとDの中間あたりが妥当と思われ、現時点ではセラミック先端から7.5mmが妥当と結論した。
                                                                    
 
 



  基礎実験による確認A ;  エアー停止状態での温度上昇


 
実験方法

SAHD200v-440w/10PS型熱風ヒータで熱電対位置をスライドさせて変更できる特別仕様のヒータを作り、下図のA,B,C,D位置での温度上昇特性を測定して比較した。測定条件は無風状態で印加電圧は80v。発熱体の最終到達温度は約850℃。

温度測定はヒーターの構造上バラツキが大きいので、正確なデータを得るには10本程度のサンプルは必要になる。しかしこの実験の様に同じヒーターでセンサー位置を可変にしたサンプルであれば試料が1本でもA,B,C,Dの差は正確に求める事ができる。
                                                                    
 




 
結果のまとめ

無風状態では通常の温度センサー位置Aでは発熱体の熱が温度センサーまでなかなか運ばれないので温度上昇が少ない。

それに対してD>C>Bの順で高い温度を検出する様になり、Dだとほとんど発熱体温度そのものを検出するようになる。

そのため温調器付きコントローラを使用していれば、エアーが停止しても発熱体温度は熱風温度設定値程度に抑えられるので、過熱断線の心配は無くなる。

/+SC仕様のセンサー位置は通常の熱風温度検出の事を考え、センサー位置をCとDの中間に設定したので、Dに比べれば過熱防止性能は若干劣るが、十分である。
 

 エアー流量     時間経過     発熱体温度    A位置    B位置     C位置     D位置     ヒータ電圧とその時の電力  
0 30秒 490℃ 150 200 270 350 80v-70w
60秒 680℃ 210 360 460 550
120秒 820℃ 420 520 620 730
180秒 840℃ 490 600 690 820

 
結論

熱風温度センサーがこの/+SC方式であれば、エアー停止時の発熱体温度は熱風温度設定値までしか上昇しない。例えば熱風温度800℃設定であれば通常運転時の発熱体温度は約1100℃である。従来仕様ならば、ここでエアーが停止してしまったら温度センサーは低い数値しか示さなくなるので、コントローラはヒーターに更に大きな電力を加え、その結果すぐに1500℃をオーバーして短時間で断線する。

しかし/+SC仕様ならばエアーが停止した場合、発熱体温度は熱風温度設定値にコントロール(この場合は800℃)されるので、決して発熱体はダメージを受けない。ただし通常のコントローラの場合、この状態が長引くと熱が根元側に伝わり電線等が焼損するので、いつまでも耐えるわけではない。

コントローラがFCM-N型であれば、エアーが停止すればヒーターへの通電も停止するので、安全に停止する。従ってSAH,SAHD型の熱風ヒーターを使う場合、コントローラはFCM−N型を使用し、それに組み合わせる熱風ヒーターとしては/+SCタイプの熱風温度センサーの付いた機種を組み合わせるのが最も高性能,高安定性で安全な使い方となる。
                                      
 



 
その他の熱風温度センサー方式について

下図は/+SC方式以外にも各種のメリットがある熱風温度センサー方式各種である。温度測定のバラツキを少なくするための平均値測定方式やエアー停止時に発熱体温度上昇を非常に低く抑える事のできる差動方式なとがある。構造がより複雑になるので採用できるケースはあまり多くないかもしれないが、どこかで役にたつかもしれないので、これらの方式も含めて特許出願している                                              
 



   
 推奨するご使用方法   SAH型熱風ヒータはエアー流量のコントロールと、熱風温度のコントロールが必要です。

 専用コントローラ  FCM−N型   これ一台でエアーと電気のコントロールをまとめて行いますので、これだけで完結です。

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                            0.01μmフィルター取付推奨

                             

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