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             物質の引火点


可燃性物質(主に液体)を一定昇温で加熱し、これに火炎を近づけたとき、瞬間的に
引火するのに必要な濃度の蒸気を発生する最低温度を引火点という

物質名

引火点(℃)

物質名

引火点(℃)

ジエチルエーテル −45 キシレン  27
エチルエーテル −41〜−20 灯油  40〜60
ガソリン −43以下 軽油  50〜70
二硫化炭素 −30 重油  60〜100
アセトン −20 アニリン  70
シンナー類 −9 ナフタリン  79
ベンゼン −11 ニトロベンゼン  88
メチルアルコール  11 機械油  106〜270
エチルアルコール  13 オリーブ油  225
オクタン  17 モーター油  232以下
石油ベンゼン  28以下 菜種油  313〜320
トルエン  4 石油ベンジン −40以下

                                  データは理科年表などより引用 
                     





              物質の発火点

物質を空気中で加熱するとき、火源がなくとも発火する最低温度を発火点という。
次に示す値は試料の形状、測定法によって大きく異なる。

物質名

発火点(℃)

物質名

発火点(℃)

水素 500 ゴム 350
メタン 537 コルク 470
エタン 520〜630 木材 250〜260
プロパン 432 ディーゼル燃料油 225
エチレン 450 模造紙 450
アセチレン 305 さらし木綿 495
一酸化炭素 609 木炭 250〜300
硫化水素 260 二硫化炭素 90
二硫化水素 346〜379 泥炭 225〜280
ベンゼン 498 アニリン 615
コンプレッサー油 250〜280 アセトン 469
黄リン 30 無煙炭 440〜500
赤リン 260 コークス 440〜600
イオウ 232 ココア 180
鉄粉 315〜320 コーヒー 398
マグネシュウム粉末 520〜600 でん粉 381
アルミニュウム粉末 550〜640 440
エポキシ 530〜540 砂糖 350
テフロン 492 石鹸 430
ナイロン 500 ナフタレン  526 
ポリスチレン 282 古タイヤ  150〜200 
ポリプロピレン 201 新聞紙 291
ポリオウロピレン 420    
メラミン 380    

データは各種のソースから引用したが、理科年表にあった場合はそのデータを優先させ
た。ただ、理科年表のデータは発火点がかなり低めである。例えばココアは理科年表だ
と180℃、他のデータだと例えば420℃。

これは最も差の大きい例であるが、他のデータもかなり違っている。安全性から考えると
発火点は低い方のデータを採用する方がよいとも言える。



燃焼についての解説

燃焼とは?

燃焼とは、一般に「熱と光の発生を伴う酸化反応」のことです。酸化反応ですから、酸化される物質、酸素の供給(酸素原子を供給する物質)、反応を起こすためのエネルギーが必要となります。(一部例外もあります)

燃焼の三要素

  1. 可燃性物質(燃えるもの)
  2. 酸素の供給(O2、酸化性物質など)
  3. 熱源(点火に必要な熱エネルギー)
    静電気や衝撃による火花、酸化熱

どんなものが燃えやすい?

一般に、上記の燃焼の三要素が大きく、燃焼が継続しやすいものほど「燃えやすい」と言えるでしょう。

燃えやすいもの

  1. 可燃性物質が燃えやすい性質を持っている
    酸化されやすい性質を持つ
    可燃性蒸気が発生しやすい
  2. 酸素が供給されやすい
    表面積が大きい(酸素との接触面積大)
  3. 供給される熱エネルギーが大きい
    可燃体が燃えるときの発熱量が大きい(その熱でさらに反応が起こる)
    熱伝導率が小さい(外部に熱が逃げず、熱がこもる)
    よく乾燥している(水分があると、蒸発や温度上昇時に熱が奪われる)

燃焼の仕方

燃焼の仕方は、物質やその形態、周りの環境によって異なります。

気体の燃焼

定常燃焼(バーナー燃焼)ガスバーナーなど、普通に気体が燃えている状態。下の非定常燃焼と比べると、外部とバランスがとれた燃焼といった感じ。

非定常燃焼(爆発燃焼)

密閉容器の中の可燃性蒸気と空気の混合気体に熱エネルギーを与えて燃焼を始めると、さらに燃焼熱が発生し、どんどん高温になります。それに伴って、温度上昇による圧力の上昇等で燃焼速度が急速に増加し、爆発的に燃焼します。

液体の燃焼(蒸発燃焼)

ガソリンなどは、液体そのものが燃えるのではなく、液面から蒸発する可燃性蒸気と空気が混合したものが燃焼します。燃焼可能な気体の混合比の範囲を、燃焼範囲(爆発範囲)と呼びます。

固体の燃焼

分解燃焼

可燃物が熱によって分解し、発生した可燃性ガスが燃焼する場合。木材や石炭の燃焼がこれにあたります。このうち、ニトロセルロースなど酸素を含む物質が燃焼する場合を、自己燃焼または内部燃焼と呼びます。

表面燃焼

可燃物が熱分解や蒸発を起こさず、物質表面で酸化する場合。コークスや木炭など。

蒸発燃焼

加熱による熱分解を起こさずにそのまま蒸発し、その蒸気が燃焼する場合。このケースは稀ですが、硫黄・ナフタリンなどが該当します。

危険性の指標となる物性

例)ガソリン燃焼範囲(爆発範囲)1.4〜7.6容量%、引火点−40℃以下、発火点約300℃

燃焼範囲(爆発範囲)

液体の表面上には、その液体の蒸気(空気と混合)が存在しますが、その濃度は液体表面に近いほど大きく、上方にいくほど小さくなります。この混合気体に点火したとき、急激に燃焼が起こり爆発が起こるには、蒸気の混合割合がある一定の範囲内であることが必要です。この範囲を燃焼範囲(爆発範囲)と呼び、混合気体内の可燃性蒸気の容量%で表します。その範囲は液体の種類によって異なります。

この範囲が広いもの、下限値が小さいものほど危険です。

引火点

ある液体について、空気中で点火したとき燃え出すのに十分な蒸気が液面上に発生する最低の温度が、その液体の引火点です。液面付近の蒸気濃度がちょうどその蒸気の燃焼範囲(爆発範囲)の下限値に達したときの液温が、引火点になります。

発火点

空気中で可燃性物質を加熱したとき、火炎や火花を近づけなくても発火し、燃焼を開始する最低の温度が発火点です。






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